全国各地で多くの方にお会いすると、「私がよく行くお店の店主は、京都造形芸大の卒業生と言っていました」「私の使っているこの商品、貴学の卒業生の方の作品です」とご紹介いただくことが多々あります。私たちが知っているお店もあれば、「えっ!?そんなところで」と思わぬ出会いに嬉しくなることもあります。

この度の「開学40周年事業」の目的は、卒業生の皆さんの活動を可視化することにより、新たなつながりを創出することです。そこで全国各地で活動されている卒業生の取り組みをお伝えしたいと考えて生まれたのが、この「卒業生のいるお店」のWEBサイトです。

お届けしたいものは商品自体の魅力はもちろんですが、その卒業生の方の想いや考え、出会いなどの物語です。「いいな」と思われたら是非そのお店に行ったり、コンタクトをとってみてください。そこから新たな「つながり」が生まれることを期待しています。

京都造形芸術大学 事務局長 吉田大作

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「卒業生のいるお店」では、これからも京都造形芸術大学・京都芸術短期大学 卒業生の活動を随時発信していきます。自薦・他薦問いません。

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三重県

今も昔も変わらない渓谷のあたたかさ

黒宮 亮介さん(三休の湯 店主)
2009年 京都造形芸術大学 美術工芸学科 彫刻コース卒業
2011年 東北芸術工科大学 大学院 芸術工学研究科卒業

鈴鹿山脈の釈迦ヶ岳の麓にある三重県・朝明渓谷。都会の景色とは対照的な豊かな自然に恵まれ、夏は登山、キャンプ、川遊び、秋は紅葉が楽しめます。朝明渓谷の四季折々の自然を楽しみながら湯に浸かりたい。そんな贅沢な願いを叶えてくれるのが、黒宮さんが営むお風呂屋さん「三休の湯」です。
黒宮さんがここを始めようと思ったきっかけは、よく入浴しにきていた「三休の湯」の前店主から、湯場を閉めるという話を聞いたからです。大学時代の黒宮さんは、木本来の素材に魅せられ、彫刻家を目指して勉強し、卒業後はアウトドアメーカーで商品企画に携わりました。それでも、昔から「好きな自然の中で何か活動がしたい」、以前よりカフェを経営していた奥さんと「いつか一緒に何か始めたい」思っていました。そんなご夫婦がこの湯場を閉める話を聞き、閉館の危機にあった「三休の湯」を昔と変わらぬ姿で、またご夫婦の夢の実現の場として受け継ぐことになりました。

  • 朝明沿岸は古くから開け、八風峠、根の平峠は近江と伊勢を結ぶ貿易路として利用され、塩、紙、布などの物資の交流が盛んでした。この場所で「三休の湯」の味わいある看板がお出迎えしてくれます。訪れるお客様は常連客から登山客、また朝明渓谷の日帰りの湯処としては珍しいので、キャンプにこられた方にも人気があります。

  • 湯煙漂う湯船からは、青空と鈴鹿山脈が眺められます。ここの湯はリウマチや神経痛に効くと言われています。四季折々の自然あふれる景色を楽しみながらゆっくり浸かるにはちょうどいい湯加減です。この景色を見れば、常連客から初めてこられたお客様まで、湯船の中での会話がはずみます。ここには、自然を感じながら、時間が過ぎるのを感じさせないゆっくりとした空間が広がっています。

  • 風が通り抜けるカフェ。奥さんが作る旬の果物を使用したスイーツ、自家製ジュースは、お風呂上がりに自然の中でいただくと格別です。カフェでは定期的に、地域イベントやワークショップが行われるらしく、この日は奥のスペースで予約制のマッサージが行われていました。風の音を聞き、自然の香りを感じながら、みなさんそれぞれの時間を過ごされています。

  • 前店主から受け継いだこだわりの「手打ちそば」。地元いなべ産のそば粉を使用し、注文ごとに打つので、お風呂上がりには打ちたての香り高いそばがいただけます。お店の中に響くトントントンとリズム良いそば打ちの音と茹でたての香りが入浴客の食欲を一層かき立ててくれます。

  • この日は、地元産の夏野菜とチキンを使用したトマトベースの日替わりカレープレート。季節の食材を使用しているので、訪れるたびに違った食材が味わえるのも楽しみの一つです。

  • お風呂上りには、食事をする人、本を読む人、テラスでハンモックに寝転びながら大自然を楽しむ人、ゆっくりと流れる時間の中、それぞれの時間を楽しんでいました。

  • 訪れるお客様を一番にお出迎えしてくれるのは愛猫の「ムー」。以前は京都の街中に住んでいましたが、ご夫婦と共に「三休の湯」に引っ越してきました。この日も大自然の中でのんびり昼寝をしていました。

  • 大学時代から木に魅せられひたすら木を削ってきた黒宮さんの作品は、数々の賞を受賞しています。人工的に作られた素材より、自然がつくる木の肌触りに何ともいえない魅力を感じるとのことです。現在は登山客と共に近くの山を登る傍ら、いつかはこの場所で生活に寄り添った家具作りや木彫の作家活動をしたいとおっしゃっています。朝明渓谷の変わらぬ自然の中、自然と人との触れ合いが大好きなご夫婦によって、今日も「三休の湯」は訪れる方の心と体を癒してくれます。

text: 松本卓也/photo: CHIMASKI/November,2017

お店について

朝明渓谷のお風呂とカフェ 三休の湯

〒510-1251 三重県三重郡菰野町千草7163
営業時間 土・日・祝 11:00~20:00(※1月2月は冬季休業)
http://33thank-you.com/

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卒業生の紹介

黒宮 亮介(くろみや りょうすけ)
1986年三重県生まれ。京都造形芸術大学 美術工芸学科彫刻コース卒業 。三休の湯店主。
卒業後は登山道具などを扱うメーカーで商品企画を担当する。2015年に三休の湯店主となり、ご夫婦の夢でもあったカフェも開設。彫刻家として家具作りも手がけている。

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