全国各地で多くの方にお会いすると、「私がよく行くお店の店主は、京都芸術大学の卒業生と言っていました」「私の使っているこの商品、貴学の卒業生の方の作品です」とご紹介いただくことが多々あります。私たちが知っているお店もあれば、「えっ!?そんなところで」と思わぬ出会いに嬉しくなることもあります。

この度の「開学40周年事業」の目的は、卒業生の皆さんの活動を可視化することにより、新たなつながりを創出することです。そこで全国各地で活動されている卒業生の取り組みをお伝えしたいと考えて生まれたのが、この「卒業生のいるお店」のWEBサイトです。

お届けしたいものは商品自体の魅力はもちろんですが、その卒業生の方の想いや考え、出会いなどの物語です。「いいな」と思われたら是非そのお店に行ったり、コンタクトをとってみてください。そこから新たな「つながり」が生まれることを期待しています。

卒業生の情報を教えてください。

「卒業生のいるお店」では、これからも京都芸術大学(旧校名:京都造形芸術大学)・京都芸術短期大学 卒業生の活動を随時発信していきます。自薦・他薦問いません。

■メールのタイトル
「卒業生のいるお店の紹介」と記載

■本文
・紹介したい卒業生のお名前、活動内容、活動場所、連絡先(電話やメール等)
・紹介者(メール送付者)のお名前、連絡先

京都府

みたてることで、新しい「美」を見出す

西山 隼人さん(花屋「みたて」 店主) 
2004年 空間演出デザイン学科 卒業

花屋「みたて」は、京都市北区の町屋の一角にあります。大学卒業後、洋花を扱う花屋に勤めるうちに商業ベースの植物の扱い方に疑問を感じた西山さんが、結婚を機に夫婦で始めたお店です。
「みたて」とは、日本人の美意識が生み出した表現方法。ものを本来あるべき姿でなく、まったく別のものとして見立てることで、新しい価値を見出すことをいいます。割れてしまった古い土器を、花器に見立てる。そこへ山や里で採集した不ぞろいの花や、ねこじゃらしを活け、一瞬にして日常のなかに自然の美しさを運んでくる。「それがみたての楽しさ」と西山さんは言います。
扱うのは巷の花屋には並ばない、日本古来の草花や木々。「自然の植物は本来、一つひとつかたちが違っていたり、虫食いの穴があったりする。日当たりが悪ければ枯れてしまう、かよわさもある。そういうのが、美しい」 均一ではなく抜けや余白のある美しさ、日々移ろっていく儚さを、西山さんは好みます。
「このすすきが僕の好きなすすき。細くてかよわくて、風に吹かれるとかわいいでしょ」季節の移ろいとともに、心の向くほうへ。西山さんが見出す「美」は、繊細で新しい自然の見方を教えてくれます。

text: 鈴木さや香/ photo:CHIMASKI / August,2016

  • 割れたり欠けたりしたところが、他にはない表情や趣を醸し出します。

  • 自然の空間をそのまま切り取ってきたような店内。
    取材をした8月の末には、すずむしの声が響いていました。

  • 小さな木箱に、季節の草花をつめ込んで。

  • 4 寸(約12cm 角)の木箱シリーズ。蓋を開けるとたちまち、野の情景があらわれるよう。

お店について

花屋「みたて」

〒603-8412 京都府京都市北区紫竹下竹殿町41
TEL 075-203-5050
営業時間 11:00 ~ 17:00
定休日 月曜・日曜

http://www.hanaya-mitate.com/

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卒業生の紹介

西山 隼人(にしやま はやと)

1981年、香川県生まれ。花屋みたて店主。京都造形芸術大学空間演出デザイン学科卒業。瀬戸内海にうかぶ粟島の、自然ゆたかな環境で育つ。洋花をあつかう花屋に勤めるうち、植物を同じかたちに加工したり花びらが増えるように品種改良したりする商業ベースの植物のあつかい方に疑問を感じ、結婚を機に夫婦で「みたて」を始める。植物の仕入れルートも自身で開拓。鉢植えや花束の全国発送や、京都市内の料理店などでの「いけこみ」、ワークショップや雑誌「&Premium」での連載なども手がける。

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