全国各地で多くの方にお会いすると、「私がよく行くお店の店主は、京都造形芸大の卒業生と言っていました」「私の使っているこの商品、貴学の卒業生の方の作品です」とご紹介いただくことが多々あります。私たちが知っているお店もあれば、「えっ!?そんなところで」と思わぬ出会いに嬉しくなることもあります。

この度の「開学40周年事業」の目的は、卒業生の皆さんの活動を可視化することにより、新たなつながりを創出することです。そこで全国各地で活動されている卒業生の取り組みをお伝えしたいと考えて生まれたのが、この「卒業生のいるお店」のWEBサイトです。

お届けしたいものは商品自体の魅力はもちろんですが、その卒業生の方の想いや考え、出会いなどの物語です。「いいな」と思われたら是非そのお店に行ったり、コンタクトをとってみてください。そこから新たな「つながり」が生まれることを期待しています。

京都造形芸術大学 事務局長 吉田大作

卒業生の情報を教えてください。

「卒業生のいるお店」では、これからも京都造形芸術大学・京都芸術短期大学 卒業生の活動を随時発信していきます。自薦・他薦問いません。

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・紹介したい卒業生のお名前、活動内容、活動場所、連絡先(電話やメール等)
・紹介者(メール送付者)のお名前、連絡先

大阪府

地元への愛を、おむすびに込めて

義本 紀子さん(泉州おむすび オトメゴコロ 代表)
1999年 京都造形芸術大学 情報デザインコース卒業

大阪府・泉佐野市。大阪湾から吹く心地よい風を受けながら駅から歩いていくと、「泉州おむすび オトメゴコロ」と書かれたのぼりが見えてきました。お店の扉を開けると、お釜から立ち上る湯気に包まれた義本さんの姿が。炊立てホヤホヤのご飯にたっぷりの具材を詰めたおむすびを、ひとつひとつ丁寧に、手際よく作っていきます。
大学時代、シルクスクリーンやビジュアルデザインを専攻していた義本さん。卒業後はグラフィックデザイナーとして活躍する傍ら、地元活性のためのボランティアにも参加。活動を通じて、「自分達の力で長く続けられる“まちおこし”」の方法を模索していました。
そんな義本さんを後押ししたのが、偶然参加したあるイベントです。お昼ごはんにお米が食べたい、と思いながら会場内を歩き回っていた時に「食による、まちおこし」というアイデアがぱっと浮かんできたのだと言います。
あまり知られていませんが、天気や湿度が安定している瀬戸内気候に位置する泉州は田んぼが多く、お米が育ちやすい環境。また、大阪湾に面しているので海産物も豊富です。そんな地域の魅力を活かし、地元で作られたお米、お塩、具材(一部を除く)を使用したおむすび屋さんとして2009年に「泉州おむすび オトメゴコロ」を創業。以降、地元住民の人たちはもちろん、朝早くに出勤するビジネスマンや、和歌山や大阪市内の遠方の方など、沢山の人たちに愛されるお店となりました。
義本さんは大学時代を振り返り、発想力がとても大事だと感じたと言います。「アイデアが浮かんだら、まずは行動してみる。失敗しても大丈夫。と思うと今のお店も始められました」といいます。

  • お店の入口には、契約農家さんが育てた泉州産の新鮮な果物や野菜が販売されています。旬のものが並ぶ小さな直売所はお客様にも好評だそうです。

  • 種類は季節ごとに約10種。南大阪唯一のブランド豚を使った「犬鳴ポークそぼろ」、阪南沖でとれる香り高い「泉州海苔」、泉南・金熊寺(きんゆうじ)の梅林からとれた「金熊寺梅」、自家製「泉州ちりめん山椒」、地元・北庄司酒造の酒かす入り「焼きねぎ味噌」、自家製昆布の佃煮、そして塩むすびの「えんむすび」といった定番7種に加え、季節のおむすびが並びます。
    種類が豊富で選びきれないというお客様は、「これはお昼ご飯用、あれは夜ご飯用…」と、いくつも購入されていました。
    おむすびに見たてたパッケージは、義本さんのデザイン。海苔を模したラベルシールの色は、中の具材を表しています。お客様の中には、このパッケージを見て「おいしそう!」と言う方もいるのだそう。「中身が見えないのに、ラベルを見て“おいしそう”と言ってくれるのは、不思議ですよね。」と、義本さんは嬉しそうに話してくださいました。
    味わうだけでなく見て楽しめるのも、このお店を訪れる醍醐味の一つ。包みを開ける時のわくわく感がさらに食欲を掻き立てます。

  • お店で使用しているのは木積産の分つき米。分つき米は玄米と白米の中間で、お米の栄養分を残しつつ精米されています。
    開店当初、義本さんはいろいろなお米を試しましたが、なかなか求める味に辿りつけませんでした。そんなときに出店したイベントで、お店の前を通りがかった女性が「うちでも、お米育ててるけどな」とおっしゃったところを、義本さんが思わず引き止めたことがきっかけで、お付き合いが始まりました。そしてお米の味にほれ込んだ義本さんは、「お米が美味しすぎて、炊くときに塩を入れるのを止め、手塩に調理法も変えた」といいます。
    お米の美味しさを更に引き立てるのが、岸和田でミネラルバランスを調整されたお塩。ご飯に混ぜるのではなく、最後にアクセントとして足すことで、お米の甘みが消えてしまわないよう、工夫が凝らされています。

  • お店に並ぶ商品の中で、義本さんのオススメが「塩(えん)むすび」。
    お米とお塩のみのシンプルな味わいだからこそ、お米の美味しさが一番わかるそうです。繊細な味覚をもつ子どもから、大人まで好評です。義本さんの遊び心で、10個に1個は海苔でできた可愛らしい笑顔があしらわれています。

  • お店を始める際に出会った人、食材を探すために出会った人、義本さんの「地元を元気にしたい」という想いから始まったこのお店が、沢山の人との出会いを結んできました。
    「お店を通して色んな人とのご縁があった。この道を選んでよかったです」と、ためらうことなく話す義本さんの表情は凛々しく映ります。
    泉州を元気にしたいという地元への愛をおむすびに込めて、これからも義本さんの挑戦は続きます。

text:木村郁花/photo:CHIMASKI/November,2018

お店について

泉州おむすび オトメゴコロ

〒598-0006 大阪府泉佐野市市場西3-4-31
TEL 072-462-0014
営業日 火・水・木
営業時間 8:00~18:00 ※売切れ次第終了
https://ameblo.jp/otomegocoromusubi/

卒業生の紹介

義本 紀子(よしもと のりこ)

1976年、大阪生まれ。オトメゴコロ泉州おむすび代表。卒業後はフリーのグラフィックデザイナーとして活躍。長く続けられる地元活性の取組みとして、2009年に「オトメゴコロ泉州おむすび」をオープン。おむすび販売の傍ら、泉佐野市内のイベント「ふろしき手づくりマーケット」の主催も務めるなど、地元の魅力を発信する活動を精力的に行なっている。

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