時を経たものに、「格好よさ」を探して
仲平 誠さん(「京都 ビンテージ アンティーク Soil」店主)
2003年 美術工芸学科 卒業
ヨーロッパの古道具を扱う「Soil」は、京都市左京区の寺社や美術館が集まる文化エリアにあります。小学生の頃から古いものが大好きだったという仲平さん。道端にビンの蓋など「お宝」を見つけてはワクワクしていたそうです。学生時代には、服や小物などを収集し“天神さん”(北野天満宮天神市)にも出店。大学卒業後、アンティーク商での勤務を経て「Soil」をオープンさせました。
店内に並ぶのは、北欧や東欧の古道具市に直接足を運び、買い集めてきた生活の品々。1940年代につくられたグラスや、刺繍の美しいタペストリー、さらには落書きされた空き缶や古いおもちゃまで。それぞれの土地で時を刻んできたものたちには、素朴でどこかセンチメンタルな空気が漂います。
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仲平さんがめざすのは、決めすぎず、少し外したところのある「格好よさ」。美しい生活の品々に混ざって、プラスチックのトレーや小指ほどのフィギュアなど、何に使うのかわからないものがぽつんと並んでいます。全然ちがうものが一緒に並んでいるのに、なぜかマッチした空間づくり。この店内にこそ、仲平さんの「好き」が込められています。
「一つのスタイルでばっちり揃える格好よさもいいけれど、そこに異質なもの、違和感のあるものを混ぜ、それがばちっと決まったとき、もう一つ上の『格好よさ』が生まれるんです。」 -
学生時代、他の学生がしないことを、あえてすることが多かったという仲平さん。
「つい反骨精神が出ちゃって」と照れ笑い。 -
緑色のなかに一点、赤い犬のおもちゃ。絶妙です。
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柳宋悦の言葉「見て知りそ 知りてな見そ(机上で知ってから見るのではなく、まず自分の目で見なさい)」に、共感するものを感じるという仲平さん。絶妙なセンスの裏側には、行動力に裏づけされた“もの”への深い探求心があります。
「なんとなくやってみる、ではなく自分の触れたものに対し時間をかけ、とことんつき詰めてやってみることが大事だと思う。」古いものにも新しいものにも、和も洋も、とにかくまずはそれぞれ自分の手で触れてみること、自分の生活に取り入れて使ってみること。さらにはそのものがある場所へ行ってみること。そうして自分が出会ったものにしっかり向きあうことで、自然と見る目が養われてきたといいます。「ものってつながっていると思うんです。一つ一つをつき詰めてこそ、良し悪しや、美しさがわかるようになる。」 -
地域のなかにひっそりたたずみ、地に足をつけそこで商売してきた小さな商店などにも、「格好よさ」を感じるという仲平さん。地道な“もの”への向き合い方で、古いものの多い京都の、新しい渦となっていきそうです。
text:鈴木さや香/photo:CHIMASKI/November, 2016
京都 ビンテージ アンティーク Soil(ソイル)
〒606-8352 京都市左京区北門前町476-1
TEL 090-2357-0574
営業時間 12:00~19:00
定休日 水曜・木曜日+不定休(仕入れ時)
http://soil-kyoto.com/
仲平 誠(なかひら まこと)
1978年、福岡県生まれ、京都府育ち。Soil店主。京都造形芸術大学美術工芸学科卒業。アンティーク商などを経て、自らのめざす「格好よさ」を求め2010年独立。2014年には「第1回京都ふるどうぐ市」の実行委員を務め、出店者を集めるために全国を周るなどイベントの成功に貢献。自らの性分を「反骨精神」「照れ屋」と語る。
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