手を動かしながら、自分の感じる美しさをかたちに
松倉 葵さん(AOM デザイナー)
2006年 情報デザイン学科 情報デザインコース卒業
大阪中之島、graf studio(グラフスタジオ)。関西におけるデザインシーンの中心地とも言えるこの場所で、デザイナー松倉葵さんの展示企画 “AOI MATSUKURA exhibition”が開催されました。この展覧会では、彼女が手がけるアクセサリーブランド “AOM” の受注・展示販売会が行われ、早々に完売してしまうシリーズ商品が出るほど、連日彼女の作品を一目見ようとたくさんの方が会場を訪れていました。
今では人気作家となった松倉さんですが、大学では情報デザイン学科で学び、アクセサリー製作に関して知識や経験は全くありませんでした。子育てをしながら更新していたブログをきっかけに、趣味で作っていたアクセサリーが少しずつ知られるようになり、自宅をアトリエにして作品づくりを続けておられます。
松倉さんの活動は現在、自由なコンセプトで身の回りに普遍的に存在する美しさを、様々なマテリアルの組み合わせや直感的なイメージで表現したブランド “AOM” だけではなく、未研磨の原石や結晶のみを扱う、 “NEVE(イタリア語で「雪」を意味する)” というブランドも展開しており、年 2 回展示会を行っているという。
「展示会の度に新作の発表はありますが、コレクションとしてのシリーズやタイトルもありません。そのときにやりたいこと、表現したい形を好きにやっています。アクセサリーそのものに意味を持たせず、持つ人そのものに意味があり、その価値や魅力は手にとっていただくお客様それぞれに委ねているんです」
一般的な宝飾品としての価値ではなく、「自分が本当に良いと思ったもの」を基準にするという松倉さん。この飾らない自然体こそが、このブランドが人々から愛される理由なのかもしれません。
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情報デザイン学科では、たくさんの仲間と出会い、作品の「考え方」「見せ方」「伝え方」を学んだという松倉さん。
「学生時代は優等生とは呼べないような生徒でした。単位もギリギリでしたし。当時より興味のないことには大変堕落的で。でも時々興味がある課題がくると、精一杯挑戦もしました」と当時を振り返る。
「プロダクトを作って実際に販売するとなると、モノを作るだけでは形にならず、ロゴやコンセプト、販売形態やそのパッケージ、それに付随するあらゆるものをデザインしたり、発信して世界観を伝える必要があります」。実は AOM の世界観を体現する写真はすべて松倉さんが手がけています。
「学生時代はこういった基本的なデザインの経験ができたこと自体に意味がありました。学生はたくさん失敗することから次につながるんです」と後輩たちにエールを送る。 -
美しいフォルムでデザインされた素材も形も異なるアクセサリー。
「こだわりがあるといえばありますが、ないといえばないです。特にルールや手法にくくって選んでいるわけではなく、直感やイメージで好きなようにやっています」
松倉さんはデザイン画からイメージを膨らますより、自ら手を動かしながら作品をつくっているのだという。 -
「育児をしながらのアクセサリー制作は本当に大変だけど、逆にアクセサリー作りに助けられることもありました」松倉さんは子育てに追われるお母さんたちでも、自分が夢中になれることがあれば、いろいろな可能性があるということを知ってもらいたいという。
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自宅で染めた藍染の糸を使ったアクセサリーや多面体で緻密に形づくられた作品など、作品のバリエーションは一人で作っているとは思えないぐらい多彩です。
一見クールに見える松倉さんですが、内に秘めた創作に対するエネルギーとものづくりに対する誠実さは話の節々から感じることができました。現在では、ブランドのコンセプトに共感してくれる職人さんともコラボレーションしながら、創作活動の幅を広げておられます。
text:曽田源/photo:CHIMASKI/May,2017
Aoi Matsukura
http://aoimatsukura.com/https://www.instagram.com/a10o12/
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松倉 葵 ( まつくら あおい )
1983 年大阪府生まれ。 2006 年京都造形芸術大学情報デザイン学科 情報デザインコース卒業卒業。
2011 年、独学でアクセサリーの制作を開始。 同年、アクセサリーブランド 「AOM」発表
2013 年、本格的に活動開始 別ライン「NEVE」を立ち上げる。
2015 年から毎年、東京は恵比寿 deuxpoissonsギャラリー大阪は graf にて年に約2回の展示会を行っている。
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