全国各地で多くの方にお会いすると、「私がよく行くお店の店主は、京都芸術大学の卒業生と言っていました」「私の使っているこの商品、貴学の卒業生の方の作品です」とご紹介いただくことが多々あります。私たちが知っているお店もあれば、「えっ!?そんなところで」と思わぬ出会いに嬉しくなることもあります。

この度の「開学40周年事業」の目的は、卒業生の皆さんの活動を可視化することにより、新たなつながりを創出することです。そこで全国各地で活動されている卒業生の取り組みをお伝えしたいと考えて生まれたのが、この「卒業生のいるお店」のWEBサイトです。

お届けしたいものは商品自体の魅力はもちろんですが、その卒業生の方の想いや考え、出会いなどの物語です。「いいな」と思われたら是非そのお店に行ったり、コンタクトをとってみてください。そこから新たな「つながり」が生まれることを期待しています。

卒業生の情報を教えてください。

「卒業生のいるお店」では、これからも京都芸術大学(旧校名:京都造形芸術大学)・京都芸術短期大学 卒業生の活動を随時発信していきます。自薦・他薦問いません。

■メールのタイトル
「卒業生のいるお店の紹介」と記載

■本文
・紹介したい卒業生のお名前、活動内容、活動場所、連絡先(電話やメール等)
・紹介者(メール送付者)のお名前、連絡先

京都府

家族で伝える、今よりちょっと豊かな暮らし

小見 実可子さん(暮らしの店en 企画・販売)
2015 年 京都造形芸術大学 空間デザインコース卒業

広島県東広島市西条。日本三大酒処として有名なこの街は、駅から徒歩数分で白壁やなまこ壁、赤レンガの大きな煙突が出迎えてくれる、散策にぴったりの場所。そこに小見さんのお店、生活雑貨のセレクトショップ「暮らしの店en」があります。
大学卒業後はアパレルの会社に就職し、店舗運営や空間デザインを担当していた小見さん。その経験を活かし、これまで専業主婦として家族を支えてくれたお母様の「職人さんが想いを込めて作った商品の魅力を、丁寧に伝えるお店が開きたい」という長年の夢を叶えるため、地元に戻ってきました。そしてご両親・お姉さんと協力をして、2016年9月にお店をオープンさせました。
それから、まもなく1年。職人さんの想いをお客様に届ける場所として、お店の名前でもある多くの“縁” が次々と生まれてきました。

  • もともと地域の方が集う洋装店だったところを家族4人で改装したというお店は、中の様子がよく見えるガラス張りの建物。入り口に近づくと、接客を担当する小見さんとお母様が温かい笑顔で店内に招き入れてくれます。

  • 入り口には経理を担当するお父様が育てた茄子も。時々、採れたての新鮮野菜が並ぶのだそう。家族それぞれがお店のことを考え、力を合わせて切り盛りしている様子がとても微笑ましく感じられます。

  • 食器、アクセサリー、洋服、食品、文具、ベビー用品など、様々な生活雑貨が丁寧に並べられた店内。実際に職人さんの元を訪れ、制作過程を見たり、話しを聞いて集めたこだわりの品々は、どれも手に取ってじっくり眺めたくなるものばかりです。
    特にお母様は長年の主婦経験を活かし、本当に生活に必要なものか、どれだけ日常生活に馴染むものか、という使う人の視点を大切に商品を選んでいるそうです。

  • 愛媛県砥部町にある中田窯の器。鉄分をあえて含ませた土を使うことでできる、黒く小さな斑点が素朴な味を出しています。1点1点手作業で絵付けされており、同じ柄でも表情の異なるところが“私だけの1枚”を選ぶ楽しみです。

  • お母様がお店を開くという夢を持つきっかけになった、広島県三次市の志和地窯の器。
    17歳から陶芸を始めて約60年になる職人さんは、弟子をとらず、今も一人で制作しています。粘土からご自身で作るほど、“納得のいくもの”のために徹底的に手作業にこだわった誠実な作品に惹かれたお母様のように、ファンも多く、今ではお店の人気商品なのだそうです。

  • 大学に進学するまでは内気な性格だったという小見さん。「大学で、今の私が誕生したんです!」と断言するほど、ワークショップやイベントの企画運営など、次々と新しいことに挑戦してきたそう。「新しいことへの挑戦は不安もあるけど、できることが増えていく感覚はとてもワクワクする」と力強く話してくれました。お店を1からつくる過程も辛いと感じたことはなく、全てが良い経験になったと笑顔で話す小見さんの姿を見て、本当に心からこの仕事を楽しんでいるのだと感じました。

  • 「安易に買えるものは簡単に手放せる。だけど、大事に扱いたいと思えるものを持つことで、普段の生活がちょっと幸せな気分になると思うんです」
    「職人さんがどれほど大切に作ったものなのか、それを使う人にも“想い”を引き継いでもらいたい。そうやって、お客様それぞれの“幸せな暮らし”を作っていって欲しいんです」

  • 小見さんもお母様も、お客様に商品の紹介をする時は必ず目線を合わせ、表情を見ながら丁寧に話しをされます。それは職人さんが想いを込めて作った商品が、お客様の暮らしに馴染むかどうかを見極める大切な時間だから。
    お店を訪れた人それぞれが商品に込められた職人さんの想いを聞き、自分の生活に溶け込んでいく商品をじっくりと選ぶことができる「暮らしの店en」。そこにはいつも、温かい小見さん家族の笑顔と、穏やかでゆったりとした時間が流れています。

text:中西絵里加/photo:CHIMASKI/August,2017

お店について

暮らしの店en

〒739-0012 広島県東広島市西条朝日町1-14
TEL 090-7997-9353
営業時間 11:00~18:30
定休日 毎週月曜日・火曜日(祝日の場合は営業)
営業時間や定休日は変更の場合があります。HPをご確認ください。

http://good-en.com/

Googleマップで見る

卒業生の紹介

小見 実可子(こみ みかこ)
1992年広島県生まれ。京都造形芸術大学空間デザインコース卒業。卒業後はアパレル会社に就職し、店舗運営や空間デザインを担当。そのノウハウを活かし、2016年9月に地元広島で生活雑貨のセレクトショップをオープン。自身が実際に職人の元を訪れて選んだこだわりの商品の魅力や職人の想いを、お客様との会話を通して丁寧に伝えています。

トップに戻る